内科の最新医療情報
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地中海食と脳萎縮予防
2017年2月20日 更新
果物、野菜、豆類、穀物、オリーブ油、魚を比較的多く摂取し、肉を控えめに摂取する地中海食の健康に対する効果はよく知られています。多数の人をエキストラバージンオリーブ油やナッツを多く摂取する地中海食と低脂肪食に無作為に割り付け約4年間観察すると、地中海食を摂取したグループで記憶力や前頭葉の機能が改善することが2015年に報告されています。
今回、イギリスから、70歳代の対象者約560人で、地中海食を摂取している人はそうでない人に比べ、MRI検査で見た3年後の脳萎縮の程度が少ないことが報告されました。
地中海食は脳機能や脳萎縮に対し好ましい影響をもたらす可能性が考えられます。
論文(英語) http://www.neurology.org/content/early/2017/01/04/WNL.0000000000003559.full.pdf+html
飽和脂肪酸摂取とインスリン抵抗性
2017年1月24日 更新
動物性脂肪の主成分である飽和脂肪酸の過剰摂取は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)やインスリン抵抗性をもたらすことが知られています。本年1月23日、飽和脂肪酸を1回大量に摂取するだけで、肝臓内の脂肪が35%増加し、全身、肝臓、脂肪組織のインスリン感受性が、それぞれ25%、15%、35%低下することが報告されました。
なお、以前に、他の研究者から、10週間にわたって投与した研究で植物油の主成分である多価不飽和脂肪酸リノール酸は飽和脂肪酸に比し、肝臓内の脂肪は増加させず、むしろ代謝状態を改善させることが報告されています。
2型糖尿病治療薬の選択
2017年1月16日 更新
米国内科学会は本年1月3日、2012年に公表された2型糖尿病の経口治療薬に関するガイドラインを改訂しましたが、従来からのメトホルミンを最初に処方すべきとの考えを堅持しています。メトホルミンは血糖値やHbA1c値をよく低下させ、体重を若干減らし、低血糖を来しにくく、また、安価な薬です。更に、2013年に中国から発表された実験的研究で、冠動脈疾患を有する患者さんに使用するとSU薬に比し冠動脈疾患の再発を減らす可能性が示されています。
2016年4月米国食品医薬品局は腎障害を有する患者さんに対するメトホルミン処方の制限を緩和し、中程度までの腎障害の患者さんに処方ができるようにしました。また、これを受け、2016年5月、日本糖尿病学会も腎障害を有する患者さんへの処方に関する推奨事項を米国同様の内容に変更しました。
また、米国内科学会は同日Duke大学の研究者らによるメトホルミンに関する系統的レビューを公開しています。この論文によると17の観察研究をまとめると、慢性腎障害、心不全、慢性肝障害の患者さんにおいて、メトホルミンの処方は全死亡や心不全入院の減少と関連していたとのことです。
当院では2型糖尿病患者さんに最初に投与する薬としてメトホルミンを重用しています。なお、この薬はきわめてまれに乳酸アシドーシスという重篤な副作用をきたすことがあり得ることで知られています。
食後中性脂肪の危険性
2016年11月8日 更新
糖尿病やメタボリックシンドロームの患者さんでは、空腹時や食後に血液中の中性脂肪が上昇しやすいことが知られています。
2016年11月7日米国医師会内科学誌でオンライン公開されたデンマークの研究で、食後の中性脂肪の上昇が心筋梗塞や急性膵炎の発症リスクと関連していることが報告されました。約12万人のコペンハーゲン住民を7年間経過観察したところ、食後の中性脂肪(トリグリセライド)が89 mg/dL未満の人に比べ89ー176 mg/dLの人では心筋梗塞の発症が1.6倍、急性膵炎の発症も1.6倍、177−265 mg/dLではそれぞれ2.2倍と2.3倍、266−353 mg/dLでは3.2倍、2.9倍、354−442 mg/dLでは2.8倍、3.9倍、443 mg/dL以上では3.4倍、8.7倍であったとのことです。なお、実際の患者数は急性膵炎に比べ心筋梗塞が10倍近く多かったとのことです。
一般的に、空腹時に比べ食後には中性脂肪が上昇します。空腹時や食後の中性脂肪値は糖質の多い食事の摂取が続くと上昇し、特に糖尿病やメタボリックシンドロームの患者さんでは上昇しやすいことが知られています。したがって、糖質を過剰に摂取しないよう注意が必要です。2015年、厚生労働省はそれまでの日本人の食事摂取基準を改定し、一般成人の糖質(炭水化物)の摂取上限を総摂取カロリーの70%から65%へと下方修正し、これに合わせて脂質の摂取上限を25%から30%に上方修正しました。いわゆる健康食の概念が変わってきていますので、今後このサイトでも取り上げていきたいと思います。
論文(英語)
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2580722
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