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1型糖尿病における運動時の血糖管理(3)

2017年6月15日 更新

5月26日、6月6日に続いて1型糖尿病患者の運動時の血糖マネージメントに関するコンセンサスをご紹介し、これにて完結とさせていただきます。なお、実際の運動時の対応に関しては主治医にご相談ください。

長時間の有酸素運動および短時間の高強度運動時の血糖変動防止目的での対応

長時間の耐久運動(主に有酸素運動) 短時間の強い運動(有酸素および無酸素運動)
運動前の食事時の追加(ボーラス)インスリン減量 120分以内に運動を開始する場合に推奨。(減量の程度は運動のタイミング、種類、持続時間、強度による) 減量は推奨されない。高血糖になればインスリンの追加が必要になる可能性あり。
運動前の基礎インスリン減量(約20%減量)(複数回の基礎インスリン注射の場合) 特に運動頻度が3日に1回未満の場合、また、当日中の運動頻度が高い場合には有用。 推奨されない。
運動後の夜間基礎インスリン減量(約20%減量)( 複数回の基礎インスリン注射やCSIIの場合)(夜間低血糖防止目的) 特に運動が午後や夕方に行われた場合には重要。 高強度インターバル運動後の低血糖予防に有用。
一時的な基礎(basal)注入量の変更(CSIIの場合) 運動中にはポンプの停止も可能。運動前(最大約90分前)からの減量が理想的。血糖のトレンドにより、運動終了時、または、回復期に通常量に戻す。 高血糖の予防や治療目的で、運動中や直後に注入量の増量が必要になる可能性あり。
運動前の糖質摂取 6月6日の(2)を参照。 通常不要。
運動中の糖質摂取 インスリン量の調節が行われなかった場合には1時間当たり60gまでの糖質が必要。6月6日の(2)を参照。 通常不要。
運動後の糖質摂取 低血糖防止や回復促進目的で有用。糖質当たりのインスリン量の減量などが必要となる可能性あり。 低血糖防止や回復促進目的で有用。但し、高血糖の場合には摂取を遅らせること。糖質当たりのインスリン量の減量などが必要となる可能性あり。
運動前、または、後の全力疾走 低血糖リスク低下に有用である可能性あり。 高血糖リスク上昇の可能性あり。有酸素運動の延長によるクールダウンを考慮すること。

90分以内に運動を開始する場合の摂食時追加(ボーラス)インスリン減量の目安

持続時間30分の運動 持続時間60分の運動
軽度の有酸素運動(最大酸素消費の25%程度) -25% -50%
中程度の有酸素運動(最大酸素消費の50%程度) -50% -75%
強い有酸素運動(最大酸素消費の70~75%) -75% (通常、この強度の運動を60分間実施することは困難)
極めて強い有酸素・無酸素運動(最大酸素消費の80%以上) 減量しない (通常、この強度の運動を60分間実施することは困難)

論文(英語)
http://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(17)30014-1/abstract

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